FX取引には様々な手法がありますが、その中でもナンピン、あるいはナンピンマーチンといった言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
利益を最大化し、リスクを管理する方法としてこれらの戦略が使われることは多々あります。
FXの裁量トレードのみならず、自動売買システム、いわゆるEA(Expert Advisor)においても、ナンピン系の手法がロジックに組みこまれていることは多いですが、このナンピンとナンピンマーチンの違いが良く分かってない方が多いのも事実なんですね。
そこでこの記事ではナンピン、ナンピンマーチン、それぞれの意味や違い、EAにはどう関わってくるのか、留意すべき点等についてお伝えしていきます。
FX取引におけるナンピンとは?
ナンピンは同方向に同ロットのポジションを取る
まずは「ナンピン」という言葉の意味から解説していきましょう。
「ナンピン」は簡単に言えば、エントリーした後に相場が逆行してポジションに損失が出ているとします。その際に、同じ方向へ追加で同量(同ロット)のポジションを取ることによって、平均取得価格を下げ、損失を回復しやすくする手法のこと。その後に取引している通貨ペアの為替相場が反転すれば、損失を補填して利益を上げることができるメリットがあります。
例えば、1ドル=150円の時に、1ロットの「買い(Buy)」を入れた後、146円まで価格が下落したとします。当然含み損が膨らみますが、その状況でナンピンをすることなく含み損をゼロにするには、元の150円まで価格が戻る必要があります。4円戻す必要がありますね。
しかし146円で1ロット、ナンピンで「買い(Buy)を入れておけば、相場が反転して148円まで戻せば含み損をプラマイゼロにできます。戻しは2円で良いわけです。その後148円を超えて上昇していった分(戻った分)利益になります。
<イメージ図>
しかしこれは逆に、取引している通貨ペアの為替市場が予想と反対の方向に動き続ける場合には、含み損や損失は現状よりもさらに拡大します。
ナンピン戦略にはリスクが伴うため、ハイリターンながらハイリスクの側面もあります。だからこそナンピンを使う際には、しっかりとしたリスク管理が必要不可欠となります。
ナンピンの言葉の由来
ナンピンは漢字では「難平」とも書き、江戸時代の米相場で生まれた日本の俗語です。由来は諸説ありますが、一般的に次のような説があります。
- 「難しい(ナン)水準を平均(ピン)する」という意味
- 昭和時代に漁業で使われていた「ナンピン釣り」が転用
今では、FX、株式市場等で一般的に使われています。
FX取引におけるナンピンマーチンとは?
ナンピンマーチンはナンピン+マーチンゲール法
ナンピンマーチンは、簡単に言えばナンピンにマーチンゲール法の要素を組み合わせたものです。
マーチンゲール法というのは、賭け金を前回の倍に増やして負けを取り戻すことで利益を得ようとする賭け方の戦略のこと。カジノ等の賭け事で使われていた戦略であり、略してマーチンと呼ばれることも多いです。
現在では、ナンピンマーチンは賭け事に限らず、FXや株式投資にも使われることがあります。
ナンピンマーチンの手法のメリット
損失を出したポジションに対して、さらにポジションを追加していくのがナンピンですが、その際にマーチンゲール法を組み合わる場合には、追加するポジションは前回の倍量(倍のロット)に増やしていくという手法です。
例えば、最初のエントリーが1ロットとした場合、相場が逆行したのでナンピンする場合は、倍の2ロットで追加エントリーします。次にナンピンする場合は、その倍の4ロットというわけです。
下記表にあるように、最終的に1回でも勝てば利益になります。
トレード回数 | 取引量(倍々に) | 勝負 | 損益 | 累計損益 |
---|---|---|---|---|
1回目 | 1,000円 | 負け | -1,000円 | -1,000円 |
2回目 | 2,000円 | 負け | -2,000円 | -3,000円 |
3回目 | 4,000円 | 負け | -4,000円 | -7,000円 |
4回目 | 8,000円 | 負け | -8,000円 | -15,000円 |
5回目 | 16,000円 | 負け | -16,000円 | -31,000円 |
6回目 | 32,000円 | 負け | -32,000円 | -63,000円 |
7回目 | 64,000円 | 勝ち | 64,000円 | 1,000円 |
為替相場が逆行し続けたとしても、「ナンピンマーチン」の手法で追加エントリーをしていけば、相場が反転して戻ってきたタイミングで、それまでのマイナスを覆してしっかり利益を出すことができます。
「マーチンゲールとナンピンの融合」になるナンピンマーチンは、上手くはまれば非常に効果的な取引手法です。
ナンピンマーチンはリスクは大きくなる
ただこちらも、相場が長くにわたって、反対方向に逆行し続けた場合、倍々になるマーチンでナンピンするわけなので、そこまで持ちこたえられる資金が無ければ、膨大な損失を被る(ロスカットになる)可能性も高まります。
ナンピンマーチンは、高い確率で取引利益を出すための効果的な手法であると同時に、一般的に言われるナンピン手法(倍々のロットでエントリーしない方法)よりもリスクは大きくなるため、細心の注意と準備が必要です。
FXトレードで利用する際には、そのメカニズムを理解し自分の取引スタイルやリスク許容度に合わせて、資金管理のルールを明確に設定し、慎重を期することが大事ですね。
マーチンゲールの言葉の由来
ナンピンマーチンにおける「マーチンゲール法」の言葉の由来は、確率論の偉大な業績を残した18世紀のフランスの数学者、ポール・ピエール・レヴィ・マルチンゲール(Paul Pierre Lévy martingale)にちなんで名付けられました。
18世紀にフランスのカジノで初めて用いられていますが、現在ではFXや株式市場でも使われるようになりました。
一般的なナンピンEAと単純なナンピンマーチンEAは違う
ナンピン、あるいはナンピンマーチンの手法はEA(FX自動売買)でも有効です。
一般的にEAにおいては、むしろナンピンを使うロジックのFX自動売買(EA)が多いと言えるでしょうね。
ただここで伝えておきたいのは、ナンピンEAと言っても
- 単純なナンピンマーチンEA
- 一般的なナンピンを使うEA
では違うということ。
これらを一緒にしている、あるいは混同している方が非常に多いです。いや、それは違うんだよと言いたいわけです。
単純なナンピンマーチンEA(倍々掛けるだけの仕様)
「単純なナンピンマーチンEA」と言った場合、エントリーした後に、相場が逆方向に動けば、同方向に倍々にして(ロットを倍にして)追加ポジションを取りにいきます。
ナンピン幅はEAによって様々ですが、EA開発においても、単純な仕様のナンピンマーチンEAはロジックも単純で作りやすいもの。なので、こうしたEAは、場合によっては詐欺的なEAに使われることもあり注意が必要です。
一般的なナンピンEA(仕様は様々)
一方、「一般的なナンピンを使うEA」と言った場合、追加ポジションを取る際にナンピンをするものの、倍々でポジションを取るわけではありません。
ナンピンを繰り返す際には、そのEAの独自のルールにてロットの倍率を上げていきます。例えば、最初は1.2、次に1.7、次に2.5のようにです(あくまで例)。一般的にマーチンゲールの定義で言われている「倍々」に掛けるわけではないんですね。ナンピン幅もEAによって様々です。
一般的なナンピンEAと単純なナンピンマーチンEAの違い
- 「一般的なナンピンEA(仕様は様々)」
- 「単純なナンピンマーチンEA(倍々掛けるだけの仕様)」
どちらも、相場のトレンドが続き反転しない場合には含み損が膨らみ、リスクは上がります。
ですが、「単純なナンピンマーチンEA」は、倍々にロットを上げていくわけなので、仕様上かなりハイリスク。
それに対し、「一般的なナンピンを使うEA」はロジック次第ですが、マーチン手法よりは確実にリスクは下がります。
なお、「ナンピンマーチンEA」を大きな括りで捉える場合、ロット倍率などの仕様に関係なく、ナンピンする度に少しでもロットを上げていくEAは、全部当てはまるという考え方もあるといえばあります。
そう考える人も多いのは現状ありますが、私は違うと思いますし、ここは明確に分けたいところです。
ナンピンを使っているEAだからといって、何でもかんでも「ナンピンマーチンEA」というのは、本来の意味は倍々で掛ける手法のことなので、ちょっと違いますね。
倍々に掛けるマーチンゲールでないナンピンEAはどう呼ぶ?
こちらでご紹介しているEAは複数あり、仕様は様々ですが、いずれもナンピンは使っています。
ですが先に解説しているように、「ナンピンマーチンEAか?」と言われると違います。ナンピンする際に倍々に掛けていくマーチンゲールは使わないですからね。
それぞれのEAの仕様によっても変わりますが、ナンピンを行うにしても独自のルールによるので、それぞれロット倍率も変わりますし、ロット間隔も変わります。EAそれぞれです。
なので、強いて呼ぶとすれば、
「マーチンゲールではないナンピンEA」でしょう。あるいは少し長くなりますが、「ナンピンEAだが単純なナンピンマーチンEAでは無い」と言ってもいいでしょう。
短く表現した場合は、ざっくりと「ナンピンEA」でも良いですが。
また複雑なロジックを持っているEAも多く、実際のところ取引手法のロジックがナンピンのみというのはありません。ナンピンは使いつつもトレンドフォローのロジックも含むEAも多いため、そうしたEAの場合は「トレンドフォロー&ナンピンEA(順張りも逆張りもするEA)」といったことが言えます。
さいごに
ここまでナンピン、ナンピンマーチン、それぞれの意味や違い。またEAにはどう関わってくるのかや留意すべき点等についてお伝えしてきました。
ナンピンにしてもナンピンマーチンにしても、相場が戻らない場合には大きな損失を負うリスクはありますが、確率論的には勝てる可能性が高い手法でもあり、資金管理等やリスク管理を徹底して行うことで、リスクを大きく減らすことは可能です。
- 単純なナンピンマーチンEA
- ナンピンを使うEA
は違うということ。
倍々にロット倍率を上げていく単純なロジックのナンピンマーチンEAはやはりハイリスクなので、選ぶべきではないでしょう。詐欺的EAにはこのタイプが多いものです。ただし、一部で言われているようなナンピンEA自体が悪いということは決して無いので、そこは誤解しないようにして下さい。
ご自身の投資に求めるものや投資スタイルも踏まえた上で、ナンピンEAを使うに当たっては、適切に考えられたナンピン幅やナンピン倍率を持ったEAを使うようにしましょう。
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